最後

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最後

 驚きすぎて、返事が出せなかった。SIOに何があったのだろう。  このような事は、大して珍しくない。環境や心境の変化で突然消える人もいるくらいだ。  ――しかし、これでは懸念が本物になってしまう。依存している僕は違っても、SIOはきっと僕を忘れてしまうだろう。  そんなのは嫌だ。強く思った。  けれど、SIOの中に残る術など無いのだ。  こういう時、現実世界で生きていくべきだと感じる。しかし、僕は現実が怖い。  顔を曝け出したら、怪人を見るかのように人々は僕を見下げるだろう。  そんな空間に立ちたくはない。  でも、もしその中で誰かが手を差し伸べてくれたなら、僕は少しでも前を向けるのだろうか。  なんて、こんな顔じゃ受け入れられるはずがないのにね。  携帯から、軽快な音が鳴った。通知音だ。  どこからの物かは分からない。大半がメルマガである事は確かだが。  しかし、内容は問わず、普段から全てに目を通していた。暇だからこそ成せる業だ。  電源を入れると、通知の内容が表示されていた。発信元はSNSのようだ。SIOとDMの文字が視界を掠める。  慌ててスクロールし、アプリをタップした。  SIOから、個人宛にメッセージを送ってくるなんて。内容が想像出来ない。  緊張しつつページを開く。すると、そこには二つの文が並んでいた。 〝こんばんは。SIOです。突然のDMごめんなさい。一週間後ここから去ることになりました。突然で申し訳ないのですが、最後にお願いしたいことがあってDMしました。〟  食い入るように文字を追う。そうして全て読み切った時、息が詰まる感覚を覚えた。 〝一度だけ、私と会って頂けませんか?〟
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