最後

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 翌朝も、日課の如く携帯を開いた。メルマガの通知が画面を埋めており、SNSからの通知はなかった。  アプリに指先を翳し、止まる。  行き場を迷った指先は、最終的に電源ボタンに伸びた。  どうしても、返事が出来ない。  答えは決まっているのに、心が拒否する。思いと現実を天秤に掛け、審議を続けている。  そうして、一週間の時が経った。  まだ、返答は出来ていない。当然、通常の書き込みに反応出来るはずも無く、この七日間一度も言葉を交わさなかった。  だが、もう逃げられない。今日の内には返信しなければならない。このまま姿を眩ます事も可能だが、心がそれを許さなかった。     ちゃんと終わらせる。自然な挨拶で。何も無かったかのように。それで綺麗に終われるなら、きっとその方が良い。  そうだ。たかがSNS上の関係だ。現実で出会っても分からない、気付かれない文字だけの関係。  僕には、それで十分だ――。  未送信のまま残っていた文を、勢い任せに送った。これで終わりだと思った瞬間、涙が出てきた。  SIOとの遣り取りは、本当に楽しかった。顔の無い僕にとって、唯一の心温まる時間だった。  純粋で輝きに満ちた発言は、いつも心を癒していたよ。 〝いつまでもお元気で〟  打ち込み、指を送信マークに掲げた。  瞬間、新たなメッセージが表示された。
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