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戦う青年の旅人は、探るように声を発した。
「超能力のうわさがあります」
彼は、銀色のサヤに収められた聖剣を脇に置き、リルが用意したジャガイモのスープを口に運びながら、目をふせて語り始めた。
「それは人に宿るものか、あるいは、人が独自に悟るものか、僕にはわかりません。しかし、物質を超越した恐るべき力を持っている。使い方を誤れば瞬時にして世界を滅ぼすとまで言われています」
リルは、小さな目を精一杯大きく開いて「なんじゃ、そりゃあ」と驚いた。
「だから、悪意あるものがその力を手にする前に、我々が見つけ、聖なる力を守らねばなりません」
「うん、うん。そうしてください、旅人さま。あなただけが頼りです」
「はい。がんばります。みなさんの幸福を守るために。けっして、悪しき者たちに、かってな真似はさせません」
その旅人が出て行くと、入れ替わるように、こんどは女の旅人が現れた。彼女は深く傷ついていたから、風の主は優しくいたわり、リルは薬草を摘んで薬を作り上げた。
ベッドに横になった女戦士は、まだ壮絶な闘いの余韻の残る震えた声で、二人に話しかけた。
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