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でも高校に上がればみんな大人になる。
中学みたいなヒドイことは起こらなかったけど、まあ…陰口はある。
それでも耐えていればいつかは消える。
告白してきた人も、友達に戻ってくれる。
だから耐えてこられたのに…。
「深川
ふかがわ
愛実
まなみ
ちゃん。オレ、キミのことが好きなんだ。付き合ってくれないかな?」
…何故、学校一モテる男子生徒・神沼
かみぬま
夜白
やしろ
に告白さているんだろう?
などと遠い眼になりながら思っている間に、周囲には観客が集まってきたぁ!
よりにもよって、昼休みで廊下に生徒があふれ返る時間に告ってきたから…!
なのでアタシはいつものように、手を胸の前で組み、俯いた。
眼を伏せ、あたかも泣いているかのように見せる。
「ごめんなさい…。アタシまだ恋愛とか考えていなくて…。友達と遊んだりする方が楽しいって思っちゃうの。だから…ゴメンなさい!」
腰を曲げ、思いっきり頭を下げる。
そして相手の目を見て、そらす。
「ホントにゴメンなさい!」
そして振り返り、全力ダッシュ。
とっ鳥肌がっ! いや、それより貧血が起こりつつある!
どこか一人になれる所に行かないと…。
よろよろしながらたどり着いたのは、校舎裏の倉庫の裏。
辺りには植物がたくさんあるから、身を隠すにはもってこいだった。
「う~…。午後の授業はダメかも」
今が乾燥している時期で良かった。
草っぱらに寝っころがり、ダウン…。
体は冷たいけれど、降り注ぐ太陽の光や風は温かい。
草木の匂いも、心を落ち着かせる。
「はぁ…。神沼め、何を考えているんだか…」
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