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神沼の手を振り切って、アタシは走り出した。
けれど追ってくる気配は無かった。
ダッシュで学校へたどり着くと、いつもの所に行った。
朝でもここには人がいない。
「ううっ…」
また、貧血だ。
手にもイヤな汗をかいているし、寒気もヒドイ。
風邪だと言って、早退しようかな?
…いや、まだ出席も取っていなかったっけ。
昨日は結局、あのまま眠ってしまい、気付けば放課後だった。
教室には人がいなくて、ほっとして帰れたけれど…。
「まさか家まで来るなんて」
でもハッキリと断った。
だから諦めてくれたのかと思ったのだけど、案外話し合いが必要なのかもしれない。
アタシはケータイを取り出した。
番号が変わっていないことを願いつつ、ボタンを押した。
『もしもし』
「かっ神沼クン、さっきはゴメンね? ちょっと話があるんだけど、今から大丈夫?」
『いいよ。どこで話そうか?』
どうやらさっきのことは気にしていないみたい。
「じっじゃあ図書室で」
普段、図書室は解放されている。
でも授業中は流石に人はいない。
暗にHRと授業をサボることを言い出しているけれど、彼は、
『分かった。すぐに行くね』
と、すぐに了承した。
彼は真面目で優等生ってワケじゃない。
ちょっと危険なところがあり、そして不真面目な部分もある。
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