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「それはしょうがないでしょ?私だって、そっちの立場だったら受けるし!」 渚は腕を組んで仁王立ちした。 かなり怒ってる…… だが、すぐに渚は淋しい表情を見せた。 「てか、そんなの私じゃなくて神様に言えって……」 その言葉に頭が少し冷えた。 ムカつくほど正論だ。何も言い返せない。 「そうだな……」 俺にはそう言うのがやっとだった。 この世界には、予防接種を受けなければならない者と受けなくてもいい者が存在する。うちのクラスではだいたい半々の割合で、渚は受けなくてもいいグループに入る。 自分がどちらに属するか、それは己の意思では決められない。 自分が何者として生まれるか? それで決まる。だから、彼女が言う通り決めるのは神様だけかもしれない。 渚は組んでいた腕を(ほど)いた。 「とりあえず受けなさいよ……それが言いたかっただけだから」 そして、俺の元を去っていった。彼女が遠くなっていく。俺はそれをじっと見つめていた。 明日には必ず受けようと思った。でないと一生口を聞いてもらえないような気がした。そのときはそれしか考えられなくて、"副作用"という言葉は一瞬で消えてしまった。
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