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「ねぇ、した?」
ホームルーム前、後ろの席の城田が俺の背中を人差し指でつついてきた。
「なにを?」
俺は欝陶しい人差し指を払いのけながら城田を睨んだ。すると、城田はムッとして俺の耳に吠えた。
「予防接種だよ! 予防接種っ!」
これは想定外の質問だ。俺はさすがに面食らってしまった。
「まだだけど?」
とりあえずそう答えると、城田は後ろから俺の肩をガシッと掴んできた。
「どうする?」
これには呆れた。
俺は白けた視線で城田を見た。
「どうするもこうするも……受けないと。年に1回。それが国が定めた義務なんだから」
すると、城田はたちまち怯えた表情になった。
「お前ニュース見てないのかよ? 予防接種受けてお陀仏になった奴が出たって……」
俺の肩を握る手にも力が入っていく。臆病なこいつらしい反応だ。
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