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たしかにそのニュースは今朝見た。 例の予防接種が開始されたのは数十年も前の話になるが、こういう事態は今までに前例がなかったらしい。 なんでも重篤な副作用が原因らしいが…… 「副作用なんだろ? たしか」 あれこれ考えていると、城田が口を開いた。表情は相変わらず暗いままだ。彼は俯いた。 「俺、できるなら受けるのやめたい……」 そう言って、俺の肩に添えていた手も自分の元に戻していった。元気のない彼に俺は咳払いした。 「ニュースで言ってたぞ? 副作用が現れる確率は0.001%であって……今回は非常に稀なケースだって」 すると、城田は怯えた表情のまま顔を上げた。 「でも、もしかしたら……」 「それに」 俺は話を遮った。 「受けなかったときの方が怖いだろ? なんのための予防接種だよ?」 それを聞いた城田は目を泳がせた。 「そりゃそうだけど……」 「よーし、お前ら席着けー」 そのとき、教室の扉が開いて先生が入ってきた。ホームルームの時間だ。 城田は完全に納得した様子ではなかったが、俺たちは一旦会話を中断した。先生はまっすぐ教壇に向かうと早速話を始めた。
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