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「ええと、まず予防接種の話な……えー、先生が散々言ってるにもかかわらず、受けてない奴がこのクラスにまだ2人もいる」
そして、ギロっと睨まれた。気まずくて俺たちは思わず目を伏せた。教室は一時静まり返ったが、それはほんの一瞬で、数秒後には先生のため息が聞こえてきた。
「ま、本人たちが一番分かってるから敢えて名前は言わんが……今月中に絶対行くこと」
先生の口調がいつもより強い。俺たちは俯いたまま、"はい"と小さく返事した。それを聞いていたかどうかは知らないが、先生は両手をポンッと胸の前で合わせた。
「はい、じゃあ2点目! みんな大好き、冬休みの課題についてな!」
後ろの城田はさっきからため息ばかりついていた。
あとでなんて声を掛けてやろうか?
先生は黒板に重要事項を書き出していったが、俺はホームルームそっちのけで城田への励ましの言葉を必死に考えていた。
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