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「ねぇ、もしかして予防接種まだなの?」
放課後、校門を出たところをクラスメートの渚に呼び止められた。心配そうな瞳が俺を捉える。俺はそれに耐えられずそっぽを向いた。
「まだ……」
すると、渚の足音がこちらに近付いてきた。
「もう……なんでよ?」
彼女の口癖。いつも"なんで"って理由を聞いてくる。俺は頭をくしゃくしゃ掻いた。
「いや、忘れてただけ。明日には受けるよ」
それを聞いて渚は少し怒った口調になった。
「もう、ちゃんとして。社会で習ったでしょ?この予防接種がなぜ始まって、どういう意義があるのか……」
「分かってるよ」
俺は少しイラッとして反撃した。
「てか、そこんとこはお前より数百倍詳しいよ、当事者だし……」
「いや、そうだけどさ……」
イライラがあまり収まらない。だから、俺は合わせて彼女に嫌味を言った。
「渚はいいよな、予防接種受けなくてもいいんだから……」
これにはさすがにご立腹の様子だった。
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