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はっと目を開けると「ママ!」と舌足らずな声がした。
「良かった、意識が戻った……全員無事で済んだ……」
泣いているのは主人だ。
頭に包帯を巻いているが、杖もつかずに立っていた。
ここは病院のようだ、とぼんやりとした理解をする。
「……どうした?樹里」
「……ううん、なんか、ボーッとしちゃって」
愛娘は無傷のようだ。ママー、と愛娘がやってきてベッドに飛び込んだ。
「あれ、これ……」
花瓶の横に見覚えのあるぬいぐるみが置かれていた。
「ああ、それ?義理母さんからのお見舞いだって。昔はそれがないと眠れなかったくらい、好きだったから、助けてくれるんじゃないかって」
「そっか……」
主人がぬいぐるみを取って私に渡した。
夢の中のできごとの記憶が、だんだん朧げになっていくのを私は感じた。
「ありがとう……」
ぬいぐるみは、やはりもふもふしていた。
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