No title

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雨降り 草に弾ける水滴の音だけが自分を包んでいる ふうと吐いた白い吐息はすぐに何百もの粒に殴られて消えていく 寒くはないのだ 冷たいなんてものもいつの間にか消えていた ただ ただ苦しい 綺麗な 大好きな雨ならきっと 罪を流してくれると思った だからここに来た 誰にも告げず 歩いて あるいて ここへ来た もう一度ふうとため息をつく 視線が下に落ちてゆき 何気なしに三角座りしている自分の脚の間から草たちを見ると 雨雲が陽を受け止めきれず零した分を抱きしめてキラキラ輝いている きっとこいつらは世界を知らないのだ 世界に揉まれて青い汁を出したことが無いのだ だから今自分の下に敷かれているこれらは初めての世界を体験しているんじゃないか そんなことを考えてふと我に返る 「草に世界なんてあるわけないやろ……」 そう自虐的に呟いてそのまま寝転がった 頭の方にあった草花に「世界を教えて」やった 目を瞑る 何故か涙が出そうだった もしくはすでに出ているのか 頬を濡らすこれが雨なのか涙なのか 自分には判断がつかなかった どうして自分が泣きそうなのか 或いは泣いているのか 理由が全くわからない内容は別としてただ草花に思いを馳せただけなのだ
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