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飛べ!不死鳥
巨大化したジャスターの背に乗って、四月一日達は空に舞い上がった。
空気は高濃度の魔力に満たされ、大気は厚い雲に覆われていた。
「物凄い魔力が渦を巻いてる。来るぞ、ヴァスキが」
海を割り、伸びた体は容易に雲を切り裂いて、それはやってきた。巨大すぎる龍。全長はテキサス州をぐるりと巻き、覆い隠すほどだった。最早生物というレベルにないものだった。
胴回りは五十メートルを超えており、その巨大さは他の何にも比較出来なかった。
「この世の終わりのような大きさだぞ!この俺は尻尾を噛み千切りそうだ!」
「小便漏らしながら叫ぶな!」
「こんニャの、魔法の域を超えてるわ!ふぎゃああああああ!」
「顔引っ掻くな紅葉。ジャスター、海底火山工房を探すぞ。流石にヴァスキにロックオンされたら逃げられんだろう」
「おう。ファクトリーシーカーの本領を発揮しろ」
「よし!俺の勘で行こう!あっちだ!」
四月一日は指差し、方向を転換した時、ヴァスキは咆哮を上げてこちらを追跡してきた。
「来た!来た!来たああああああああ!魔女が!我々とは違う力がああああああ!始!何とかしろおおおおおおおお!」
「頑張れジャスター!あの水没しかけた島だ!あの火口に飛び込め!」
「しっかり掴まってろ!飛ばずぞ!行くぞ音速飛翔!」
「ふぎゃあああああああ!猫は掴む力が弱いのよおおおおおお!爪が折れる!」
「俺だっていっぱいいっぱいなんだよ!風圧が!潰れるううううううう!うわああああああああああああああああ!!!」
不死鳥の背後に巨大な顎門が迫り、危うく食われようとした時、不死鳥は火口に飛び込み、閉じられた顎門が爆発音の如き大音を立てた。
ヴァスキは、獲物が逃れた火口の周りを未練がましく回遊していた。
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