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星無がまみる時
落ちた先は海底火山工房だった。改めて四月一日は自分の勘のよさに驚くことになった。
「お前は本当に凄いな。何故ここだと思った?」
ジャスターの問いに、四月一日は簡潔に応えた。
「海底火山工房と聞いて海の底にあると思うならそれこそフェイクだ。海底は探していられないからな」
「逆をついたのか。なるほどな」
「星無。大鍋を押さえよう。どこにあるか解るか?」
「ここはマーキュリーバイオレットの領域。私と同等の力の持ち主よ。防御機能一つとってもフォーマルハウトの比じゃ」
突然現れた何かが、星無の頭部から胸部をバツンという音を立てて噛み千切っていた。
鮮血が全身に降りかかり、言葉を失った四月一日に向かって、それは大口を開けた。
口の中に、ぼんやりとした星無の顔があった。瞳孔の開ききった瞳は虚空を見つめている。
「う、うわあああああああああ!」
四月一日が絶叫を上げた。
口が閉ざされ、コリコリとした骨を食む音がした。
群がるその正体不明の生き物が、競うように鮮血を撒き散らす星無の身体を食い荒らしていった。
四月一日は、足元に転がった星無の腕を抱きしめるように拾い上げた。鈍い断面に見える二本の腕の骨は噛み砕かれて潰れていた。
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