3人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
もう、星無月子はこれしか残っていなかった。
「星無いいいいいいいいいいい!!!」
突如訪れた喪失感に、四月一日はすっかり支配されていた。
正体不明の生物に、四月一日は取り囲まれた。
もう何もかもどうでもよかった。引っ立てられた先に、四月一日はマーキュリーバイオレットと対面した。
翼のある有牙のイカのような巨体だった。
その腹に、バイオレットの怜悧な顔が浮かんでいた。
「この世は再び原初に帰る。この星が押し潰され。絶え間ない重力の奔走と交差の末に新たな星が産まれる。私はルル。新たな星が私の家となるのよ」
応えたのは保孝だった。
「無駄だぞバイオレット。始はスターレスがマミったので打ちひしがれている」
「で、あんたはニャにを怒っているの?ニャにが気に入らニャいの?」
紅葉もそんなだった。星無の死をその程度に捉えていた。
何だよ。それが魔法使いだとでもいうのか。
幻滅だよ。仲間を、命を軽んじるそんな魔法使いなんか要らない。消えちまえよお前等。
「そうだ。貴様等人間は海を汚し、生態系を乱した。とりわけリュウグウノツカイは絶滅の危機に瀕している。何とも淡白なべちゃっとした味。筋肉があるわけではないが焼くと以外に美味い。
最初のコメントを投稿しよう!