星無がまみる時

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 もう、星無月子はこれしか残っていなかった。 「星無いいいいいいいいいいい!!!」 突如訪れた喪失感に、四月一日はすっかり支配されていた。 正体不明の生物に、四月一日は取り囲まれた。 もう何もかもどうでもよかった。引っ立てられた先に、四月一日はマーキュリーバイオレットと対面した。   翼のある有牙のイカのような巨体だった。 その腹に、バイオレットの怜悧な顔が浮かんでいた。 「この世は再び原初に帰る。この星が押し潰され。絶え間ない重力の奔走と交差の末に新たな星が産まれる。私はルル。新たな星が私の家となるのよ」 応えたのは保孝だった。 「無駄だぞバイオレット。始はスターレスがマミったので打ちひしがれている」 「で、あんたはニャにを怒っているの?ニャにが気に入らニャいの?」 紅葉もそんなだった。星無の死をその程度に捉えていた。 何だよ。それが魔法使いだとでもいうのか。 幻滅だよ。仲間を、命を軽んじるそんな魔法使いなんか要らない。消えちまえよお前等。 「そうだ。貴様等人間は海を汚し、生態系を乱した。とりわけリュウグウノツカイは絶滅の危機に瀕している。何とも淡白なべちゃっとした味。筋肉があるわけではないが焼くと以外に美味い。
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