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食事デート?いや、それはない
心の底から思った。何このしょうもなさ。
降って湧いた地球存亡の危機は、しょうもなく解決し、最終的にパプワンバスフィッシングになった。
まあ、上がったけどさ。生きてたよイシダイ。イシダイは無事己を取り戻し、河童と共の海に帰っていったのだった。
そして、星無はソワソワ落ち着かない様子だった。
四月一日は、星無を連れてステーキバイキングに訪れていた。
大宮市のグランドホテルだった。大勢の客に囲まれた星無は目に見えて落ち着きがなかった。妙な緊張と興奮の中、星無はパンケーキに口をつけ、ホッと頬を撫でた。
「甘くて美味しい。消しちゃおうと思ったけど」
「誰を消す気だ?でもよかったよ。人間嫌いと思ってたよ。普通に人混み大丈夫そうじゃないか」
何だかお上りさんをエスコートしているような気になっていた。
「嫌いじゃないわ。慣れてないだけよ。結構楽しいし。ねえ始君。ここホテルでしょう?」
「そうだな」
そこで星無は頬をほんのり染めた。
「別にいいけど。私」
「そう。ふーん」
「ねえ。枕買って。YESって書いてある奴」
「じゃあ俺はNOって書いてある奴買わんとな」
四月一日は冷めていた。目の前でバリボリ食われた女が平然とステーキをガツガツ食っている姿に心底得体の知れないものを感じていた。
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