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天然羊は空気が読めない?
会社から出て近くの美味しいと評判の居酒屋に阪下さんと二人で行った。男の人とご飯なんて久しぶり…でもないかも。
「あっ、LIMEが来てる。秋広君と大祐君からだ。」
秋広君と大祐君は年下の友達で、秋広君は転勤で大阪に行ってしまったけど、大祐君は仕事上忙しいけどたまにご飯に行ったりする仲だった。
「楽しそうにしてるけど、彼氏からかな?」
「彼氏では無いですよ。飯友です。」
「じゃあ、僕も飯友になるのかな?」
「阪下さんは、職場の先輩ですから違います。お腹減りました。何にしますか?」
「好きなの頼んでいいよ。…そっちに行ってメニュー一緒に見ようか?」
と、阪下さんは何故か私の隣に座り私の肩に触れるぐらいの至近距離でメニューとにらめっこしていた。
「距離が近すぎます。」
「えっ!?あっ、そうだね。って、恥ずかしいのかな?」
「体に触れるぐらい近すぎなくてもメニュー見えますよ。」
「そうなんだけど、橘さんと二人だけで仲良くしたいなと思ってね。」
私の左側に座り、私を見ながらにっこりとテーブルに肘をついてあざとく微笑む阪下さん。黒羊だ。
「一人じゃ寂しいんですよね?それに、話すときは面と向かってお見合い方式タイプの向かい合わせがいいと思いますよ。」
「橘さん、怒ってる?」
「いえっ、冷静に感じたままを言ってるだけです。なので、向かい合わせでお願いします。」
「そうだね。」
やっとまともに面と向かって話が出来ると安堵して、注文を頼み会社では出来ない話を始めた。
「橘さんは、何座かな?もし、同じ星座なら気が合いそうだと思わないかい?」
「いえっ、そうは思いません。確かに話は弾みますが気が合うかどうかは話してみないと分かりません。」
「冷静だね。でも、ご飯一緒に食べると仲が深まるのは良いことじゃないかな?」
「嫌な人と一緒にご飯行くのは苦痛ですからね。」
「結構厳しい意見だ。橘さん、もしかして会社と外では別の顔があるとか?」
「会社外だと新人では無くなるのでリラックスしてます。堅すぎますか?」
「どうかな?橘さんがそれでリラックスしてるならいいと思うよ。」
この羊さんに悪気は無いけど、フワフワしてるように見えるのは気のせいだろうか?尻尾が見える。
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