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ノンアルコールカクテルとノンアルコールビールを頼んだ筈が、飲んでみるとアルコールが入っていた。
「アルコール入ってますね?」
「忙しいから間違えたのかな?それ、どんな味がするか飲ませてよ。」
「どうぞ。って、ああっ!私が飲んだストローで飲まないで下さいよ。」
「あっ、ごめん。間接キスになったね。これ、美味しかったよ。御馳走様。」
「…態とらしいです。阪下さんからかってますね?」
「そんな事無いよ。でも、少し恋人気分だったかな?」
阪下さんが、天然なのか計算高いのか分からなくなってきた私は、ほろ酔い状態で焼き鳥を豪快に食べた。そして、阪下さんに悩みを酔った勢いで打ち明けた。
「私、女だけど自信ありません。いつまで友達以上恋人未満でいればいいのか分かりません。」
「飯友に好きな人がいるの?」
「…好きか、どうかも分かりません。優しいだけじゃ、満足しません。」
「一緒にいてドキドキしたりしない?例えば隣に来て触れ合うぐらいの…」
「チャラいですよ、阪下さん。酔ってるからって思考はまともらんれすからね?あれ、呂律が…」
阪下さんは、クスクスと隣で笑っていて私は酔っていた。少し飲んだだけなのに顔が熱くてもう出来上がっていた。
「サラダ食べるかい?後、お水もらおうか。」
「私って、いつもいい人止まりらんれす。それ以上見てくれないのが悲しい。」
「うーん…それは、その人達に見る目が無いだけじゃないかな?橘さんは、人を引き寄せる魅力がある女性だよ。だから、自信持ってね?」
「気休めはやめて下さい。余計に悲しくなります。」
「…気休めじゃないよ。橘さんは、僕が言うのも何だけど明るくて素敵な女性だって思ってる。だから…」
阪下さんは、私の隣で酔っぱらいを介抱しながらも真剣な顔をして言ってきた。それからの記憶が全くなくて気がつけば何処かの部屋の見知らぬベッドの上でいた。
「おはよう、橘さん。」
「…えっ!?あの、阪下さん私どうしてここにいるのですか?」
「酔った橘さんと一緒にタクシーに乗って僕の家に連れてきただけだよ。橘さんは、タクシーで寝てしまって起きなかったから仕方なくね?」
『この状況なら誰しも混乱しますね?しかも、隣に殿方がいてはパニックを…』
「もしかして、私…」
「それは大丈夫だよ。一緒に寝たけど手を出したりしてないから。」
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