7人が本棚に入れています
本棚に追加
私の言葉に目が点になったかと思うと、松川さんは急に笑いだした。
「橘さんには、敵わないな。そんなに冷静に言われると怖いよ。」
「すみません。」
「そういう頑なな橘さん悪くないから好きだよ。簡単におさまるなら遊びでいいけど、そうじゃないからやる気がでる。香り作りは、いいものを作るにはリラックスしてからじゃないと出来ない。慎重さが必要だって事だな。」
「恋愛はゲームじゃありません。松川さんの作る香りは好きですが、恋愛に対する考えは理解出来ません。それに…」
「惹かれ合う香りっての作りたいなら、こういうのも必要だと思うけど。好みの香りは、誰しもあるから嫌な匂いには近付かない。もし、橘さんが俺の香りが嫌なら近付かないんじゃないかな?」
どや顔で自信たっぷりの表情。松川さんは、自信がありすぎて引いてしまう。でも、正論だから返す言葉がないぐらい悔しい。
「橘さん、大丈夫…そうだね。アハハ。」
「阪下さん、どういう意味ですか?」
「松川君が橘さんを食べてないか岡西さんに見に行って来てって言われたのもあるけど、内心気掛かりで仕事が手につかなかったよ。」
「「(それは、阪下さんのやる気の問題だと思う。)」」
「見た所何も無かったみたいだから安心したよ。橘さん、一人で行くなんて危ないよ。」
「…そうですね。(来てくれて安心したかも。)」
「それで、阪下さん自分の仕事は放棄でいいんですか?」
「うん、もう終わったから行っていいって。それに、三濱さんに橘さんと一緒でいいって言われたんだよ?」
松川さんが、ムスッと面白くなさそうにしてるのに空気を読まない幸せな羊はフワフワ気分で柔らかい笑みを浮かべて言った。
「橘さんの御守り役ご苦労様です。が、これは仕事です。橘さんが、俺に協力をと持ち込んだ企画案なので喜んで協力させてもらいますよ。」
「へぇーっ、松川君そんな怖い顔するんだね。橘さんは、悪いけど渡さないよ。うちの部署の…俺の彼女だからね?」
松川さんを牽制した阪下さんは、黒羊になり一人称が俺になった。しかも、松川さんに私が彼女だとばらしてしまった。
「彼女?まさかですよね。アハハ…阪下さん、橘さんの指導係だから手をつけたんですか?阪下さん、前の彼女と別れて日が浅いですよね。」
最初のコメントを投稿しよう!