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隣に座る阪下さんが食べている麻婆豆腐のいい匂いが、食欲をそそる。朝、自宅で雑穀入りのおにぎりを握ったのを二個取り出して水筒に入った大好きな黒豆茶をランチバックから出した。
「お待たせ。皆、美味しそうなの頼んでるね。後輩ちゃんは手作りおにぎり?家庭的だね。いい奥さんになれるよ。ねっ、阪下君?(笑)」
「えっ?ああ、そうですね。僕のと交換して欲しいかななんて。」
「愛情に飢えてるのかな?彼女いない訳じゃないでしょ。」
「いないですよ。今、彼女募集中です。」
西山さんと阪下さんの他愛も無い会話に私は、阪下さんの事を知ってしまった。彼女がいないと。本当かな?
「お待たせ。あっ、新人さん。初めまして、商品開発部の松川です。よろしく。阪下さんの後輩で今、アンジェのルージュデリシャスって口紅開発してます。」
「アンジェのルージュ使ってます。前のシリーズの香る口紅愛用してますよ。アロマの資格持ってて香りにはこだわりがあります。」
「じゃあ、今度俺の商品開発の香りに協力してくれると嬉しいな。」
「いいんですか?よろしくお願いします。」
「駄目よ!松川君は、そうやって直ぐ女の子誘って手を出すんだから。」
「えっ!?そうなんですか。」
「西山さん、そういうつもりじゃないですよ。」
「本当かな?松川君に泣かされた女の子いっぱいいるよ。阪下君、可愛い後輩ちゃんの指導係なら守ってあげなきゃ駄目よ。」
西山さんに松川さんも阪下さん迄巻きこんでのお説教だった。三濱さんは、笑うのをこらえている。
「おっつー。カズカズ。あっ、新人さんと一緒なんだ?指導係大変だね。私、カズカズ…阪下さんのゲーム仲間の中村陽子です。経理部にいるのでよろしくお願いします。」
「陽子さん、挨拶軽すぎ。俺は、陽子さんと同じ経理部にいる朝海です。同じく阪下さんのゲーム仲間です。」
「橘です。よろしくお願いします。」
と、色んな人と挨拶をしてランチを終えて隣の自販機が沢山ある所に行って何にしようか迷っていた。食後の糖分補給。
「迷ってるみたいだけど、何にするか決めた?」
「阪下さん!?お先にどうぞ。」
「糖分摂取必要だよ。これで良かったらどうぞ。」
「カフェラテ。ありがとうございます。」
「考えすぎるといい案が出てこないよ。リラックスして頑張ろう。」
「はい!」
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