第1章

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今から1年前に、初めて美咲と会った。出会ったときの彼女の色は、春の梅の花のように濃いピンク色だった。それがどういうわけか、ここ数ヶ月の間に、徐々に薄紅色に、白に近いピンクに、そして今は、ほとんど白色に近づいていた。 もしかすると、結婚などという人生の節目の前には、人の色は変わるものなのかもしれない。 だとしたら、自分では視えない僕の色も、何かしら変化があるのかもしれない……。 この会場にはもう1人、白色の人物がいた。 乾杯の挨拶、スピーチを務めた、僕の友人代表の男だ。片山洋という。高身長で物腰の柔らかい男だ。 100人余りが同席するこの会場で、白色は2人だけ、美咲と片山洋だけだった。 「浩一さん、写真撮るって」 美咲の柔らかな声が耳元で囁き、僕は「ああ」と慌てて返事をして前に向き直る。 「いいですかー?」 「はーい」 式場のカメラマンが、誰かのスマホを手に声をかける。 ーーカシャッ。 「ありがとうございましたぁー」 美咲の友人4人組は、写真のチェックをし、はしゃぎながら自分たちの席へと戻っていった。
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