第1章

7/16

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「ここで、浩一さんの親友の片山洋さんから、浩一さんに伝えたいことがあるようです」 司会がマイクの音量をあげて賑やかな会場の視線を集めた。 名前を呼ばれた片山洋が、前に出てくる。 「ただ今紹介に預かりました、片山洋と申します。浩一くん、美咲さん、改めて、ご結婚おめでとうございます……」 その後彼は、僕との出会いや高校時代の思い出などを、きっちり3分語った。 「えー、それでは思い出話はこの辺にして、おふたりのためにダンスを披露したいと思います!」 と彼が言ったのを合図に、10人ほどの男たちがぞろぞろと前に出てくる。 アップテンポな曲が流れ出し、スタッフに合わせて客たちも手拍子を始める。 ダンスのことはよくわからないが、たぶんうまいのだろう。 しかし、慣れない場に疲れきっている僕には、ただカラフルな塊がぴょんぴょん跳ねているようにしか見えなかった。 「すごい!みんな上手ね」 「……そうだね」 楽しそうに笑う美咲に釣られて、ほんの少し、僕も表情を少し緩めた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加