説明事の面倒臭さといえば…

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「よし、決めた。」 俺はポケットを探って、小物を取り出して林斗に差し出す、 「うん?」 「お礼でなんでもしてくれるんだったら、これを受け取ってくれないか?」 暗徒が差し出したのは、女の子がつけるような可愛らしい髪留めだった。 「お前の為に買ったんだけどな、普通に渡すと放り投げられそうで…」 俺が?を掻きながら言うと、林斗はクスッと笑い、目尻に涙が溜まった状態で言った。 「放り投げる訳ないじゃん。大好きなお兄ちゃんからのプレゼントだよ?ふふ、大事に使うね。」 林斗は、その髪留めに長い髪を通し、中間ほどまで通して束ねる。照れ臭そうにして、 「うーん、髪留め使った事ないから使い方が分からないな。大丈夫?変じゃない?」 と言った。 「…ああ、似合ってる。可愛いぞ。やっぱり林斗は俺の自慢の弟だな。」 俺はそう言いながら、林斗に顔を近づける。林斗は長い髪を耳にかけながら、その可愛らしい、ぷっくりとした桜色の唇を近づけてくる。それは、 「…なんで私達3人より女の子(ヒロイン)してるの?」 不意に聞こえた、バステトの言葉に遮られた。林斗の隣に元々いたのだが、林斗との会話に夢中になっていて忘れていた。 「これじゃあ、儂らは戻ってこない方が良かったんじゃと思ってしまうな。」 そうハデスが言うと、笑顔で恥ずかしそうに顔を染めていた林斗が、目を涙で潤す。 「う、うぅ…」 「待ったダーリン!泣くな!泣くんじゃないのじゃ!男じゃろ!」 「ダーリン!泣かないでなの!私まで悲しく…」 「待った!アスタロト!ダーリンも!泣かないでよ!ちょっと暗徒!止めるの手伝って!」 「………」 俺はその言葉に答えることが出来なかった。正気に戻って、改めて見た林斗の姿が予想以上に可憐で、見惚れてしまう。いや、この気持ちは見惚れるなどとは違う。本来なら弟相手に持ってはいけない感情、恋の感情だ。林斗を見て、心を奪われた。と言うのが正しいのだろう。 「…あっ!すまんバステト!林斗の対処法は、可愛い物を見せる、だ。」 何処かへ飛んでいた心を戻し、俺はバステトに伝える。ハデスとバステトが慌ただしく他の2人を宥めている。俺はそれを見て、この気持ちは言わないでおこう。これは絶対に言ってはいけない、伝えてはいけない感情だから。そう思った。
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