歌留多をせずにはいられない

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歌留多をせずにはいられない

 友人Nの話をしよう。  Nとはあるコミュニティで知り合った。年に2,3回会う程度であるが、数年来の付き合いになる。  この日も久しぶりにランチでもどうかということになり、休日の11時にNの家の近くのカフェで待ち合わせをしたのだった。  Nには家族は居なかった。両親は既に他界しており、兄弟姉妹は端から存在しない。遠く離れた親戚も親の代から疎遠で連絡先も知らないと言う。  そう、Nは孤独であった。しかしその孤独を彼女は楽しんでいた。 「一人で生きるということは、常に自分中心で行動が出来るでしょう。責任も自分の分だけでいいから気楽なものよ」  と彼女はお酒が入る度に口にしていた。Nを知らない人が聞いたら、それは寂しさ故の強がりだと言いそうだが、実際何にも縛られない彼女は自由で好きな処を飛び回っていたようだ。その姿は常に眩しい程活き活きしていた。それは歳を重ねる程増しているような気がする。     
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