告知義務のない事故物件

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明るくて男同士の中では非常に面白い奴なのだが、如何せん女関係にだらしなく、ヒモ気質なところがった。 案の定女関係で揉めてばかりで、大学を中退した後すぐにホストになった。 藤宮にとってホストは天職だったのだろう。 上手くやっているようだ。 俺は藁にもすがる思いで藤宮に伝えた。 空いてる部屋がある、すぐにでも入居できる、しかし訳ありなのだと。 藤宮は俺の話を聞いた後「なにそれ俺死ぬの?」とケラケラ笑った。 藤宮は楽天家な男だ。 「じゃあさ、契約者は俺の客にすればよくね?来月から一緒に住もうって言えばすぐ借りてくれるって。そうすれば俺死ななくてすむじゃん?」 あっけらかんと言う藤宮に寒気がした。 契約者が死ぬかもしれないというのに、客を騙して名前だけを借りるとは。 どうも部屋を借りたがったのも女関係のトラブルが理由のようだった。 一時的に引っ越したいのだが、資金が厳しいから俺に格安で強請るつもりだったとヘラヘラ言ってのけた。 だらしなさに加えて、無神経なやつになったものだ。 しかしノルマのためとはいえ、アコギなやり方で契約を取る俺も人のことは言えない。 おまけに死ぬかもしれない部屋を友人に押し付けようとしているのだ。 俺は「本当にいいのか?」と何度も藤宮に確認した。 藤宮は「大丈夫だって」と繰り返した。     
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