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人生初めての彼氏ができた。 名前はタクミ。 誰よりも優しくて、誰よりもかっこいい私の自慢の彼氏。 甘えた声を出せば頭を撫でてくれるし、眠れない夜はずっと抱きしめて私が寝付くまで付き合ってくれる。 時々わざと仕事に行く前に拗ねて見せれば、困った笑顔でキスをしてくれる。 大好きだよ。 世界で一番可愛い。 愛してる。 マナはオレの宝物だよ。 私が赤面するくらい甘いセリフを言って、頭を撫でて、手を握って、抱きしめてくれる。 そして私はタクミの胸の中でそっと深呼吸して、タクミの匂いで体中を満たす。 でもある日、気付いたの。 他にもタクミを好きな女がいることに。 その女はタクミに馴れ馴れしく話しかけている。 私はその度に邪魔をするけど、その女は全く懲りる様子もない。 タクミもタクミだ。 「マナは困った子だな」ってただ笑うだけ。 私はある日、決意した。 私たちの邪魔ばかりしてくるあの女に、後悔させてやる。
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