2人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぐっ・・・、どーせ私なんかぼっちですよ。あ、あんなに頑張ったのに、高校デビューに失敗して・・・、今じゃこんな・・・」
嗚咽を交えながら、ニコは嘆き始めた。
それを見かねた灰夢はニコに励ましの言葉をかけた。
「僕は楽しいけど。布等芽さんと話すのは」
「ふぇ・・・?」
「錬金術師に真の意味で友達なんていない。でも、君なら僕の友達になれるかもしれないな。受け取って欲しい、これは友好の印だ」
言っていることは意味不明ではあったが、その言葉は虚言のようには聞こえなかった。
彼はニコの机に何か置いた。すると顔の近くから甘く柔らかいカカオの香りがした。
「これはココア?あ、ありがとう、方円くん!」
(何だ、いいとこあるじゃない。ま、まあ、こんな高校デビューもありかな・・・なんて)
彼の気遣いに感心し、頂いたココアを飲もうとした。しかし、それと同時に、何か違和感も感じ、彼の方に目を見やった。
彼の机の上には、見たこともないような色彩の液体がズラリと並べられており、中央にはアルコールランプでココアが熱せられていた。
「・・・・・・。あの方円くん」
彼女の呼びかけに反応し、灰夢はその方へ顔を振り向かせた。
「これ・・・、本当にココアでいいんだよね?」
沈黙を作る方円灰夢。それに質問を続けた布等芽ニコ。
「これ・・・、変なの入れてないよね・・・?」
ニコがそう聞くと、灰夢は今日一番の笑みを浮かべた。
「飲めるかぁーーーーー!!」
最初のコメントを投稿しよう!