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昨夜、散々快楽を教え込まれた身体は、いとも容易く開いていく。
身体の隅々まですべてを透さんに差し出せば、心までが解放されたように感じた。
「綺麗だよ」
欲情した瞳の透さんに言われると、自分が一輪の花になった気がした。華やかではないけれど、透さんのためだけに咲いた深紅の花。
透さんを誘うみたいに私の中から蜜が溢れ出し、それを指でかき混ぜながら彼は苦しそうな声を漏らした。
父が言うように、男はミツバチなのかもしれない。
でも、透さんはもう私以外の花の蜜を吸おうとは思わないだろう。
何の根拠もないけれど、私は彼を信じられる。
暑そうに掛け布団を撥ね上げた透さんの額には汗が滲んでいた。
「梨花、愛してる」
「私も。……愛してる」
その言葉を待っていたかのように、透さんは一気に私を貫いた。
最初は大きくゆっくりした律動が徐々に気持ちを高めていく。
じれったくなってきた時、不意に快感がやってきた。
「あっ! あ、あ、あ、あ!」
私の口からあられもない声が漏れだすと、もう抑えることは出来なくなった。
透さんが律動を速め、いやらしい水音が狭い部屋に響いて恥ずかしくなるけれど、もっともっとと求めてしまう。
「聞こえる? すごいよ。梨花が感じてる音だね」
そんな言葉で、また蜜が溢れ出すのを感じた。
「もう……どうにかなりそう」
「俺も、もう。……行くよ!」
激しく突き上げられて、私も絶頂に導かれた。
蜜口が拍動する奥で、透さんのモノが脈打つのを感じる。
「愛してるよ。もう一生離さない」
覆いかぶさってきた透さんが唇を合わせてから、ピタリと身体を重ねてきた。汗でしっとりと濡れているのは私も同じだ。
熱も呼吸も心拍も。すべてがシンクロして、幸せだと思った。
私は透さんの愛を百パーセント感じ取れたのだろうか。
きっと彼に訊けば、「まだまだだよ」と優しく笑うだろう。
まだ半分もわかっていないとしても、あなたにこんなに愛してもらえる自分を私も愛しく思う。
私自身をもっと大切にしたいと思った。
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