綺麗に染めてあげるわ

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 翌朝、俺は出社前に会社の提携先のホテルに予約の電話を入れた。俺の住む県では名の知れたホテルで、某有名ホテルの系列なので、格も問題ないだろう。シングルもどうかと思うので、ダブルの部屋を予約する。  あとは、一日の仕事を滞りなく終わらせて、夜を待つだけだ。  身支度を整えて、いつも通りの七時四十五分に家を出る。  歩いて十五分の会社に着くまで、晴れてるとはいえ、冬の冷気を纏った風に吹かれながら、頭の中は今夜のことばかり考えていた。女はどんな顔で来るのだろうか? 俺の予約を優先するってことは、かなり俺に思い入れがあるということなのか? たったあれだけの時間で、何が女をそうさせたのか。そして、俺も何でそこまで女に会いたいのか。ダメだ。これじゃあ、昨晩の繰り返しだ。だが、考えることを止められない。  いつの間にか会社のエントランスに着いていた。俺は両頬をピシャリと両手で叩き、エレベーターに向かい歩き始めた。
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