エピソード7 壁を越え、黒世界へ再び

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エピソード7 壁を越え、黒世界へ再び

私は、黒世界の治安改善に務めた。 「白世界」を公表したい。 黒世界の住人は、青世界の私たちの持つ機密情報の一つである『白の条件』を手に入れようとしている。 それがなくとも、私の力で「白世界」に行けるのならば、すぐさま私を狙うだろう。 目が見えない欠点を活かし。 生き地獄のようにさせられるだろう。 目が見えないことは、誰にもバレていない。 私の五感は馬鹿ほどいいからだ。 と言ってもそのうちの視覚はないが。 足りないところは他でカバーせざる負えない。 「緋井。お前、目」と言ったその声は、龍一さんだ。 龍一さんは、青世界の軍人の中でも先輩の次に有能な前衛だ。 私と同じ10代での、加入。 数々の、敢闘賞を手に入れる、私からしたら強者だ。 前衛部隊の練習中のことだと思う。 龍一さんと、1v1をした。 龍一さんの、足を細かく動かすくせのおかげで、場所がよく分かったが、目の前の障害物が避けられない。 軽い殺し合いの練習で、龍一さんは耳打ちで障害物の場所を的確に教えてくれた。 そして、改めて聞いてきたという事だ。 私はこう返した。 「黒世界に来ると、視覚の能力が無くなるんです。」 「いつからだ?」と聞き返す龍一さん。 「青柳先輩がやられた争いの前の争いのときだと思います。」と私は言った。 「黒住に、一点狙いされてたからな。」と龍一さんが、言った。 その争いは、黒世界の住人が知識を集め、私たちを分析し我らが敗北しかけた争いだった。 その後の25000体の大軍を引き連れトドメをしかけに来るという2日間にわたる大戦争だったのだ。 そして、目が見えなくなったのはその休養中、目覚めた時という訳だ。 「とにかく、青世界で過ごしてろ。黒世界は俺らだけでも今のところはなんとかなる。ただし、青世界での自主練習は欠かすんじゃねぇぞ。」龍一さんの暖かい言葉に私は涙した。
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