終わらぬ今日。

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「ナナは、進路決めたのか?」 タクは校門を通り抜けると、石ころを蹴りながら尋ねる。 高校二年生になった私達は、今それぞれの人生の分岐点に立っていている。 だけど私は、このままがいい。 タクがいてマナがいて、そして三人は変わらず仲良し三人組で…。 そうしていられる“今”が“今日”が終わらないで欲しい。 「危ないっ!」 突然、遠くから聞こえる声に顔を上げると、目の前からサッカーボールが飛んでくる。どうやら朝練をしていたサッカー部がコントロールを誤ったらしい。なんて、呆然と眺めている私を、タクが庇うように抱きしめる。しかし、その反動でバランスを崩した私達はそのままグラウンドの土の上へと倒れ込んだ。 「きゃっ!」 「うわ!?」 頭に鈍い痛みが走ると同時に、周りの音が遠ざかる。 景色が黒いモヤに飲み込まれていく。 なのに、さっきの感触だけがやけに鮮明に残っていた。 私を抱きしめるガッチリとした腕。 頭を庇うゴツゴツとした大きな手。 …ああ、そうか。 私達は知らぬ間に変わってしまったんだ。 そんなことを思っていたら、意識が途切れた。
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