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「ユイラン様、昼食持ってきました」
リオンが決意し、仕事を開始してからすでに五日がたった。
あれから毎日三食の食事を部屋に運んでいるが、いつも何も手をつけていないまま食堂へと返している。
机の上に目をやると、朝持ってきた朝食が何も変わっていない状態のままで置かれていた。
ユイランはベッドの上に座り、リオンと目を合わすことなくずっと窓の外を見ている。
彼女は今持ってきた昼食を机の上に置くと、ユイランへと歩を進めた。
「食べないと体に悪いですよ?」
「……」
「お腹、すきませんか?」
「……」
「食べ物勿体な……」
「っせぇよ」
吐き捨てるように呟いた。
リオンをジロリと睨む。
「うるせぇよ。何様だお前」
ユイランは立ち上がると、彼女の胸ぐらを掴んだ。
「私はユイラン様の付き、人、です……っ!」
少々苦しそうにするもはっきりと言い切る彼女に、ユイランは乱暴にその手を離した。
「フン。どうせてめぇもあいつの差し金だろ? 誰があんな奴の指図なんか受けるかよ」
あいつとはユーフェンを指すのだろう。
そのことをすぐに察した彼女は、ユイランの腕を掴んだ。
「ユーフェンのこと、悪く言わないで」
「は?」
「あなたはわかってないんだよ。ユーフェンがどれだけあなたを想っているか……」
「……っ!」
言い終わるか否か、彼女は体が宙に浮くのを感じた。
自分の周りがスローモーションみたいにゆっくりで、冷たいけれど何故か熱くも思えるユイランの瞳をずっと見つめていた。
(あ、ぶつかるかも)
そう思った瞬間、
――ガシャンッ
陶器の割れる音と共に、彼女は倒れ込んだ。
どうやらユイランに吹っ飛ばされたらしい。
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