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「干渉するな。俺にも、あいつにも」
気付けばユイランの顔はリオンの近くにあり、綺麗で長い黒髪がパサリと彼女の顔に当たった。
ユイランの瞳は強く、けれどどこか寂しそうにも思えた。
「何をしているの?」
僅かに開いた扉の隙間から、金糸の髪がフワリと見えた。
(ユーフェン?)
開かれた扉から現れたのはユーフェンではなく、一人の少年だった。
パーマがかかった金糸の髪に、ブルーの丸くて大きな瞳。
(可愛い……)
女の子のように顔立ちが良く背も低いので、まるで天使のようだ。
「兄上、女の子に何をしているの」
その少年は、今度は強めにそう言うと、ユイランの服を引っ張った。
「兄上、リオンの怪我の手当てしたいから手を離して」
ユイランはチッと舌打ちをすると手を離すが、まだジンジンと痛みの余韻が残る。
「リオン、来て」
「えっ、でもまだ仕事が……」
「いいの」
少年はリオンの服をグイグイと引っ張り、部屋の外へと連れ出した。
それでもまだ引っ張り続け、お互いに何も会話をせぬままある部屋の前で止まった。
「ここ、ボクのお部屋。入っていいよ」
「え……っ!」
「早く」
少年に背中を押され、半ば強制的に部屋に入れられるリオン。
パタリと扉が閉まる音が聞こえそちらを振り向くと、その少年は心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫? まずお洋服、着替えないといけないね」
(あ、そっか)
リオンはスープをおもむろに被っていた。
そのせいで髪は少ししっとりとしており、服もシミが出来ている。
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