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「ね、お願い」
小首を傾げて目をキラキラとさせ、何てこの少年は確信犯なのだろうか。
けれどリオンは優しく微笑み、ライトの頭を撫でた。
「気持ちは嬉しいけど、自分で決めたことは最後までやり通さないと」
「リオン……」
ガックリと肩を落とすライト。
リオンはライトと同じ目線になるように座り、言った。
「でも、呼んでくれたらいつでも傍に行くからね」と。
リオンはライトの部屋を出ると、もう一度ユイランの部屋に向かうことにした。
机を倒してしまったせいで、今頃床は散らかり放題だと思われるからだ。
まさかあの男が箒を持って掃除するとは考えにくい。
(また何か言われるだろうなぁ……)
ユイランの部屋に向かう足が重い。
ノロノロと廊下を歩いていると、どこかの部屋から女性の咳き込む音が聞こえてきた。
風邪をひいているのだろうか。
その音は乾いていて、咳をしても楽にならないような咳き込み方だった。
(誰か病気なのかな……)
そう思いながらも足を部屋へと進める。
この時彼女は、あまり気には止めていなかった。
「ユーフェン?」
ユイランとリオンの部屋の境目辺りに佇むユーフェンの姿を確認すると、リオンは慌てて駆け寄った。
「どうしたの、何か用事?」
「そんなんじゃないよ。ソルトから連絡貰って……」
ユーフェンは彼女の姿を改めて見、包帯が巻かれた腕を取った。
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