第6章

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「……フン、黒の妖精は自分の家も自由に歩けないってか」 暫く三人の間に沈黙が流れた。 誰も出方が分からずに、その場に佇む。 ――と、その時。 ガシャーンッ! 城内に響き渡るすさまじい音。 (何……!?) この音は、先程リオンが歩いてきた方向からだった。 あまりの音の大きさに呆然とするリオン。 けれど。 「……母上……っ」 小さく呟いたその言葉を、聞き逃しはしなかった。 「ユイラン!?」 彼は音がした方に向かって走り出していた。 ユーフェンはすぐに状況を理解すると、リオンの背中を押した。 「ユイランの後を追って! 僕は後から行くから!」 「わ、わかった!」 リオンは今、何が起こっているのかわからなかった。 ただ理解したのは、『母上』と呟いたユイランの声が、少し震えていたこと。 そして、今向かっているのはユイランの母君、王妃の元ということだった。
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