第一章

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 うちの神社の祭神は、元邪神の蛇神様。  あ、なんか一句できた。て詠んでる場合じゃない。  意図的に悪神にされてた土地神も今は誤解が解け、縁結びの神様扱いだ。なにがどうしてそうなった、は過去作参照。  封印解いちゃったあたしを気に入り、一方的に嫁宣言して居座ること幾月。色々あった末、特殊な宿命を持つため幼少時狙われたと判明したあたしは、謎の敵から身を守るためにも護衛を条件に承諾した。  が、撤回したいと思うのはこんな時だ。 「そうだ、クリパat高天原へ行こう」  蛇神様は境内に設置しおったツリーの前で言い切った。  ☆ 「うちは神社よ?! 何やってんだこの罰当たり祭神!」  キレイな電飾のクリスマスツリーを設置した祀り神の頭をひっぱたく。 「俺本人がやってんだから問題ない」 「自分の神社の境内に他宗教のもの置いていいの!? 宗教上の問題は?!」 「いいじゃないか、楽しいことはみんなで楽しもうよ。異文化交流」 「て言えば何でもいいと思うんじゃない。さらに日本の神がクリスマスパーティーって何!」  白髪に着物姿の八岐大蛇の息子にツッコむ。ていうか着物着てるの初登場時以来ね。高天原に行くから正装? 「ネタ? ギャグ?」 「マジな話だけど。ほら招待状」  ぺらっと出したキラキラなカードに主催者イザナギ・イザナミ夫妻って書いてある。 「ツッコミどころが多すぎる!」 「何が? さ、行こー」 「今から?! ちょ、あたし普段着!」 「大丈夫、用意済みだ」  神通力で瞬間着替え。白い生地に古典的花柄。特注品か。こんなの普通売ってないでしょ、さりげなく九郎を表す白蛇が花の影に混じってるもん。髪の毛まで結ってあるし、飾りもお揃い。  あたしは神主の娘なんで和服姿は慣れてるが、そういう問題じゃない。  普通の人間がいきなり高天原連れてかれるとか慌てないわけないでしょ! 「うん、よく似合う。写メっとこう」 「これどうしたとか勝手に撮るなとか色々言いたいことがある! 小一時間問い詰めたい……って人の話聞けー!」  マイペースな神様は人の言うこと無視して、あたしを光り輝くゲートに引っ張り込んだ。
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