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レイトショーはあなたと
映画に行く時間は取れそうにないから、と困ったように言う航平さんに、思わず「大丈夫ですから」と言う。
ただ、なんとなく、大学の友人が言っていた面白い映画の話を出しただけなのだ。
一緒に行くのは難しいことも分かっている。そもそも映画の趣味が一緒かも分からない。
「じゃあ、ここで見ようか。」
さすがに映画館で上映されてるものは無理だけど、レンタルしようと航平さんが言った。
ピザを取って、1年ほど前に流行った映画をネットで借りた。
「大学生の頃みたいだな。」
ピザを一切れつまみながら航平さんが言った。
おれに合わせてくれたという事だろうか。つまらないのかな。
画面から目をそらして航平さんを見ると、直ぐに航平さんも気が付いた。
「ああ、楽しいなってことだよ。」
湊は心配性だなと言われ、それから、もうちょっとこっちと航平さんが座っているソファーの真横をぽんぽんと指定された。
そこに座り直すと、再び映画の画面を向いた。
映画は笑いあり涙ありのアクションものでとても面白かった。
ギャグシーンでおれが思わず笑うと、横で航平さんも笑う息遣いを感じた。
それが、嬉しかった。
映画の大したこと無いシーンだけど、同じものを共有できたのは、とても嬉しかった。
航平さんの顔を確認すると航平さんもおれの方を見ていて、顔を見合わせて笑った。
映画は勿論面白かったけど、ただ二人の時間を共有できたことがとても幸せだった。
END
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