ジングルベルをあなたと聞きたい

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「そういえば、もうクリスマスプレゼントは買った?」 「いえ……。」 会えるかどうか分からないし、そもそも学生であるおれがプレゼントしたものはいつも高価であろう物を使っている航平さんには不釣り合いな気がしてしまう。 おれが言いよどんでいると「こういうのは気持ちだよ。」と笑顔で言われる。 「航平は、湊ちゃんがあげた物なら何でも喜ぶと思うよ。 約束はしてるんでしょ?」 何も答えないおれに葛城さんは今日必ず誘ってみなさいと言われた。 ◆ スマホの前でもう30分以上もにらめっこしている。 もう、電話じゃなくてメールでいいやと思うのにそれでも体が動かない。 そうこうしていると着信音が鳴る。 ずっとメールを送ろうか悩んでいる航平さんからだ。 慌てて通話にすると、不機嫌そうな口調で「今日これから会えるか?」と聞かれる。 何かあったのだろうかと思ったが断る理由が何もないし、会える時はいつでも会いたかった。 はい、と返事をすると「実はもうアパートの前まで来ている。」と言われた。 慌てて出かける支度をして家を出ると、航平さんの車が停まっている。 「遅くなってすみません。」 「いや。」 電話での不機嫌な声は今も続いているみたいで、体を固くする。     
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