もう一度火をつけて

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 気持ちを切り替えて、私は資料を探し続ける。やっと見つけることができたソレは、棚の最上段になる。少し小柄な私がどんだけ飛び跳ねても届かないような場所だ。 「もう! ……脚立どこにあったっけ?」  きょろきょろと脚立を探している間に、ギィ―ッと倉庫の扉が開く音が聞こえてきた。定時過ぎの遅い時間なのに、誰だろう? 不思議になった私は身を乗り出す。そこにいたのは……想定外の人物だった。 「……え゛?」  その人と目を合わせるのは、私は大きく見上げなければいけない。私が口をあんぐりと開けていると、その人……広瀬課長は表情を変えずにこっちに近づいてきた。 (え、え? えぇ?)  戸惑っている内に、私は倉庫の隅に追い詰められる。広瀬課長は壁に手をついて私の逃げ道を塞ぎ、どこにも行けなくなる。 「……避けてるだろ?」  頭の上に、課長の低い声が降りかかる。 「な、な……何の事でしょうか?」 「俺の事、避けてるだろ?」 「そ、そんなコト、してないです、よ……?」  見下ろされるというよりも、睨まれている。私の返事はぎこちなく、体もピシピシと強張ってしまう。胸の前で手をぎゅっと握ると、私の頭の上で彼がため息をついた。その音が何だか悲しそうで……思わず顔をあげる。 「え?」     
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