第13章

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「ユーフェン、ごめん……」 (こんな辛そうにしてるユーフェン、初めてだ) それからは碌な会話ができなかった。 どんなことを話しても、まるで会話に気が入らないユーフェン。 そうこうしていく内に時間は経ち、気付けば一八時半近くになっていた。 時間が迫ってきたので、リオンはユーフェンの部屋を出てユイランの部屋へと向かう。 ユーフェンの様子が気がかりではあったが、今は目先のことに集中しなければならない。 「ユイラン、行こう!」 ノックもせず部屋に入る彼女に、ユイランは少し驚いたようだった。 「行こうって、どこからだよ」 馬鹿正直に城の扉から出ていけるわけはないし、寧ろ部屋の扉から出るのでさえ誰かに見つかる可能性がある。 それならば。 「まさか……」 そう、そのまさかだ。 彼女はにっと勇ましい笑みを浮かべると、ユイランに向かって指を差した。 いや、正しくはその後ろに。 「窓から出るんだよ」 彼の後ろにある窓。 そこから外を見れば高くそびえる庭の樹木。 「窓からって……ここ三階だぞ!?」 「大丈夫。私が行きたい丘は、ここからそう遠くないから。木の枝も太くて丈夫みたいだし」 自分の部屋でも、ユーフェンの部屋でも確認できた。 この城から村まではあまり遠くない。 近くから火薬遊びを見るつもりもない。 ただ、それを邪魔する樹木を避けられればいいだけ。 「んなこと言って、もしここから落ちたらどうすんだよ」 「大丈夫だってば。下は植え込みがあるし、多少のクッションにはなるよ」 何を言っても言い返してくる彼女にユイランは諦めたようで、軽く溜め息を吐くとリオンを見つめた。
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