第12章

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長い沈黙が、部屋を支配した。 依然として変わらない彼の表情。 「ユイラン?」 沈黙に耐えきれなくなったリオンは、思わず彼の名を呼んだ。 「……何言ってんだ」 彼の言葉に、キョトンと首を傾げる彼女。 ユイランは眉の皺を一層深いものにした。 「お前、知らないのか? 俺はこの部屋から出ることは……」 「知ってるよ」 リオンは腰に手を添えて胸を張る。 窓から入ってきた風が気持ち良い。 「出れないなら、抜け出せばいいよ」 外にはたくさんの楽しいことや綺麗なものがあるから。 (勿体無いもん) 人生は決して辛いことばかりではないことを、少しでもわかってほしい。 そんな彼女の思惑とは裏腹なユイランの心。 「バカバカしい」 一言だけ吐き捨てた。 「どうして!? この部屋から出たくないの?」 「別に」 予想外のことだった。 ユイランは、一生この中でもいいと言うのか。 (わからない……。ユイラン、何考えてるの?) 再び部屋に沈黙が訪れる。 どちらも目は合わそうとせず、身動き一つない。 「用はそれだけか?」 先に口を開けたのはユイランだったが、視線は窓の外に向けたままだ。 何も言うことはできず、彼女は肩を落とした。 「……ごめん。また来るよ」 (何で……?) リオンはふと彼に目線を移した。 決して合わそうとしない黒の瞳。 リオンはカチャリと扉を閉めた。 彼女の計画とすることは、ただのお節介になってしまうのだろうか。 「わからないよ……。出たくないの?」 自分の前髪をクシャリと混ぜる。 (頭が混乱する……。何故……?) その時、彼女は異変に気付いた。 人の、気配。
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