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その男は長髪長身で、ユーフェンより背が高い。
風で揺れる金髪は綺麗に一つに纏められており、腰程まである。
ピアス、指輪、ネックレスなどの装飾品をありとあらゆる所に着けているが、どれも決して主張せず、付けこなしていた。
「あなたは……」
(白の妖精……!)
「君は見かけない子だね! 新入りかい?」
リオンの発言を遮り、その男は続けた。
「麗しゅう姫君がそんな物を持つものじゃないよ! そんな物は使用人に押し付けてしまえばいい」
その男はリオンの持っているゴミを指差す。
彼女は苦笑しながら首を振った。
「いえ……、私も使用人なので。これが仕事で……」
「なんと! 君のような可憐な姫君が使用人!? 全く、ユーフェン殿は何を考えておられるのか……」
腕を組み考える素振りを見せるその男。
リオンは男の勢いに付いていけず、その場に呆然と立ち尽した。
(この人、一体何……?)
身なりからして一般人ではなく、物言いからしても、かなり上の身分の者だろう。
ユーフェンの名前も出していた。
(もしかしてこの人……っ!)
彼女は思いついたように顔を上げて、男の顔を凝視した。
「はっはっは! 何だい? 僕の美顔に釘付けになってしまったかな?」
「あなたはもしかして……」
「グルーヴ!」
リオンと男の会話を遮る、聞き慣れた声がした。
彼女にとっては、愛しい声。
「グルーヴ……勝手に居なくなられると困るよ」
「おぉ! ユーフェン殿、すまなかったね!」
その男、グルーヴは小さく笑って頭を掻いた。
「あ……! 君も居たんだね。グルーヴに何もされたりしなかった?」
二日ぶりのユーフェンの笑顔に、彼女はほんのりと頬を赤く染めた。
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