第15章

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その男は長髪長身で、ユーフェンより背が高い。 風で揺れる金髪は綺麗に一つに纏められており、腰程まである。 ピアス、指輪、ネックレスなどの装飾品をありとあらゆる所に着けているが、どれも決して主張せず、付けこなしていた。 「あなたは……」 (白の妖精……!) 「君は見かけない子だね! 新入りかい?」 リオンの発言を遮り、その男は続けた。 「麗しゅう姫君がそんな物を持つものじゃないよ! そんな物は使用人に押し付けてしまえばいい」 その男はリオンの持っているゴミを指差す。 彼女は苦笑しながら首を振った。 「いえ……、私も使用人なので。これが仕事で……」 「なんと! 君のような可憐な姫君が使用人!? 全く、ユーフェン殿は何を考えておられるのか……」 腕を組み考える素振りを見せるその男。 リオンは男の勢いに付いていけず、その場に呆然と立ち尽した。 (この人、一体何……?) 身なりからして一般人ではなく、物言いからしても、かなり上の身分の者だろう。 ユーフェンの名前も出していた。 (もしかしてこの人……っ!) 彼女は思いついたように顔を上げて、男の顔を凝視した。 「はっはっは! 何だい? 僕の美顔に釘付けになってしまったかな?」 「あなたはもしかして……」 「グルーヴ!」 リオンと男の会話を遮る、聞き慣れた声がした。 彼女にとっては、愛しい声。 「グルーヴ……勝手に居なくなられると困るよ」 「おぉ! ユーフェン殿、すまなかったね!」 その男、グルーヴは小さく笑って頭を掻いた。 「あ……! 君も居たんだね。グルーヴに何もされたりしなかった?」 二日ぶりのユーフェンの笑顔に、彼女はほんのりと頬を赤く染めた。
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