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「うん、大丈夫だよ」
「何だい二人共! まるで僕が変態みたいじゃないか!」
二人のやり取りを見て、グルーヴは野次を飛ばした。
「冗談だよ。彼女の緊張を解いてあげようと思っただけだから」
全く正反対の性格のグルーヴとユーフェンだが、相性はいいようだ。
話の途中、よく笑いが起きる程に。
ユーフェンは急に「あっ」と声を洩らし、手を叩く。
彼は二人の間に立つと、彼女を見ながら声を発した。
「リオン、彼の名前はグルーヴ。隣国、サンディール国第一王子だよ。僕達の国の視察に来たんだ」
ユーフェンが来る前、リオンが考えついたこと。
時間には少し早いとは思ったが、やはり間違いではなかった。
「えと……初めまして、グルーヴ様。リオンといいます」
彼女は深々と頭を下げた。
グルーヴはというと手を腰に当て、胸を張っている。
「うむ、リオンだね! 礼儀正しい姫君は大歓迎さ!」
「はぁ……」
口の端が引きつる彼女に対し、ユーフェンは慣れているのか平然としている。
「あともう一人いるんだ。グルーヴの他に紹介をしないといけない子が……」
「もう一人?」
そういえばユイランは、『奴ら』と言っていた。
とすれば、一人ではなく複数ということになる。
「アシュリさ! 僕の可愛い妹君だよ!」
グルーヴは自分の頬に手を当て、息を吐いた。
何を考えているのか、その顔はご満悦だ。
(本当にこの人って……)
彼女がそう思った瞬間、グルーヴはパッと目を輝かせた。
不思議なことに、彼を取り巻くオーラがピンクに見える。
「どうしたの?」
「アシュリの足音が聞こえた!」
リオンとユーフェンは耳を澄ました。
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