第15章

8/12
前へ
/40ページ
次へ
「うん、大丈夫だよ」 「何だい二人共! まるで僕が変態みたいじゃないか!」 二人のやり取りを見て、グルーヴは野次を飛ばした。 「冗談だよ。彼女の緊張を解いてあげようと思っただけだから」 全く正反対の性格のグルーヴとユーフェンだが、相性はいいようだ。 話の途中、よく笑いが起きる程に。 ユーフェンは急に「あっ」と声を洩らし、手を叩く。 彼は二人の間に立つと、彼女を見ながら声を発した。 「リオン、彼の名前はグルーヴ。隣国、サンディール国第一王子だよ。僕達の国の視察に来たんだ」 ユーフェンが来る前、リオンが考えついたこと。 時間には少し早いとは思ったが、やはり間違いではなかった。 「えと……初めまして、グルーヴ様。リオンといいます」 彼女は深々と頭を下げた。 グルーヴはというと手を腰に当て、胸を張っている。 「うむ、リオンだね! 礼儀正しい姫君は大歓迎さ!」 「はぁ……」 口の端が引きつる彼女に対し、ユーフェンは慣れているのか平然としている。 「あともう一人いるんだ。グルーヴの他に紹介をしないといけない子が……」 「もう一人?」 そういえばユイランは、『奴ら』と言っていた。 とすれば、一人ではなく複数ということになる。 「アシュリさ! 僕の可愛い妹君だよ!」 グルーヴは自分の頬に手を当て、息を吐いた。 何を考えているのか、その顔はご満悦だ。 (本当にこの人って……) 彼女がそう思った瞬間、グルーヴはパッと目を輝かせた。 不思議なことに、彼を取り巻くオーラがピンクに見える。 「どうしたの?」 「アシュリの足音が聞こえた!」 リオンとユーフェンは耳を澄ました。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加