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電車を降りて、待ち合わせている場所に行くと、教えられたナンバーの車と、その隣に1人の中年男性が立っていた。
男性に話しかけ名前を言うと、守秘義務があるから携帯を預からせてほしい。と言われたので電源を切って渡した。
男性は「ここに戻って来た時にお返しします。」と言うと、車の後部座席を開けて「どうぞ。」と促した。
車の中からは、外の景色は全く見えないように加工され、運転席との間もカーテンで閉まっていた。
あまりにも外が見えない状態で走るものだから、俺は「もしかして騙されたか?」と頭をよぎった。
携帯も取り上げられている。不安が全身を駆け巡った。
だが、その不安の直後に車は止まった。
すると、運転席の男性がカーテンを開けて
降りる前に書いてほしい。と、一枚の紙を渡されて署名させられた。
内容は暗くてよく見えないが、他言するな。とか
バイトの後に俺に何があっても保証はしない。とかだった気がする。
俺は電車の中で湧き出た「正義」を、もう一度膨らませた。
車を降りると、さらに拘置所までの道がブルーシートで囲まれ外が見えないようになっていた。
中に入ると更衣室に案内され服も靴も、全て真っ白なものに着替えさせられて、椅子と机があるだけの待機室に案内された。
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