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そこは、真っ白な広い部屋だった。
壁も床も白く、自分達が入って来た扉の、反対側にも扉があった。
その隣には、大きなテレビが置いてあるだけで、死刑囚も、首をくくる縄も、死刑執行のボタンを押す装置も見当たらない。
辺りを見回していると、職員が
「あーダメダメ。
そこ、危ないから壁にくっついてて。」
と、言って手で仰いだ。
俺は、これから起こることの緊張に加えて、想像していた状況の違いに、つい職員のおじさんに聞いてみた。
「あの…仕事って、死刑執行のボタンを押すんじゃないんですか?」
職員のおじさんは目を丸くした。そして、ため息をつくと無言でテレビをつけた。
そこには刑務官が5人整列して並んでいて、1人1人がカメラ目線になるように映っていた。
そしてなんと、その刑務官の中に、電話をかけて来た、あの知り合いがいた。
画面の右上に『ボタン室』と書いてある。
「ボタンは彼等しか押せないよ。」
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