フォトジェニック・ラブ

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 奏が私の部屋にスマートフォンを忘れて行ったので、サプライズとして奏が下校する時間を見計らって、それを届けに行った。下校する女子高校生は私を奇異の目で見つめたが、そんなことは些末なことで私は奏を待った。奏は黒い髪を固く三つ編みにして、セーラー服を着ていた。その姿を見ると、奏は確かに女子高校生なのだ、と私は思った。友だちと一緒に歩いている奏は私に気づくと、走り寄って来た。 「忘れたみたいだから、持ってきた。ないと不便でしょう」 「ありがとうございます」  私は携帯電話を渡すと、奏は目を逸らして言った。 「迷惑だった?」  そんなことないです、そう言って奏は足早に私の元から離れて行く。友だちと一緒に笑っている奏。そんなところを邪魔してもと思い、私は少しの違和感を覚えながらもひとりで会社に戻った。 「無神経じゃない」 「なによその言い方」  上司のホームパーティで、私は違和感を覚えた事の顛末を話すと及川は呆れながら言った。 「その子が一度でも栗本に制服姿を見せたことがあった?」     
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