フォトジェニック・ラブ

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「私はただの女子高校生だけど自尊心くらい持っている。でもプライドだけじゃ、どうにもできないことも知っている。私は瞳さんの仕事もわからないし、会社のパーティにも行けない。だって私はただの子どもなんだもん」  大声で私を責め、奏自身、自己嫌悪に陥っているのが良くわかった。私は違う、と言いたくて再び腕を伸ばすが、それも奏に再び叩き落とされる。妹でもない。ペットでもない。奏は私にとって愛おしいひとなのに、それを声にさせてくれない。私はそんな状況に歯ぎしりをする。 「私は子どもだからキスもできないもんね。それくらい私だって知っている。わかっている! だから……」  私はさまよった手で奏の頬に平手打ちをした。いくら奏でもそれ以上、言われるのは耐えられない。奏はびっくりしたように言葉を失い、目から水滴が落ちる。今まで決して見せなかった奏の涙。奏と別れる理由など、私の中にはなに一つなかった。それを伝えなければいけない。 「私は、奏を、愛している」  私は両手で奏の頬を包み、単語をはっきり区切りながら、私は奏に言った。そして奏の薄い身体の背骨が折れるくらいに強く抱きしめた。ここが公衆の場だなんて気にしない。誰より、私は奏しか見ていない。 「お願いだから、別れるなんて言わないで」  私の言葉に肩口に顔を埋めている奏は頷いた。そして抱擁を解くと私は奏の手を取った。 「ずっとずっと先の未来も、奏と一緒にいたい」     
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