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1.永遠
雨上がりの清々しい朝
海沿いの小道を歩く
銀色の波がキラキラと反射し
おだやかな風が辺りを包んでいる
旅先で見つけた原風景に
私は無彩色の自分の過去を
スロ-モ-ションのように浮かび上がらせる
寿命が尽きた後の自分が
時空を超えて向かう先は
こんな風景の中だろうか
2.朝陽
朝陽の差し込む旅館の部屋の窓を開けると
凪いだ海に浮かんだ小さな漁船が
今昇ったばかりの太陽を目指して
一生懸命に走っている姿が見える
間もなくやってくる春の匂いが
潮のツンとする匂いとともに
私の鼻を刺激する
音のない静かな世界に
私の疲れ切った心は
少しずつほどけて行く
当たり前の幸せを取り戻すために
私は過去の自分と向き合う
3.別れ
川沿いの満開の桜の花を
ゆっくり愛でながら歩く二人
時々吹く風に花びらがひらひらと舞い降り
辺りは幻想的な空間へと変わる
別れることを決めてからは
楽しかった思い出だけが蘇る
別れることを後悔していないけれど
お互いに無理してはしゃいでいるのは
なぜだろう
この道の尽きたところが
二人で決めた別れる場所
ふいに私の手を握ってきた
あなたの手が熱い
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