その二

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           人間、この不可解な生き物 心地よい風が頬をなで 春の光は黄金色に輝き 生気が細かな波のように広がる中 この不可解な生き物たちは 歪な道理に惑わされ 欲望への呪縛と懊悩にはまり どうにもならない泥沼に自ら追い込み 暗い影に怯え ものわかりの良い自分を演じて 悲しい嘘をつき 祝福の表情の裏に嫉妬を込め 感情の糸をもつれさせ 目に見えない愛情に悩み 不必要なまでに神経を尖らせ 自ら傷口を広げる 浅はかな人間の理性と英知など どれほどの意味があるというのだろう 心を解き放ち 自然と同化し、美しさを取り戻そう             ありふれた日曜日 優しい花が香水のようにかすかに匂い 樹木のおしゃべりする声が聞こえる 煩わしいことだらけの日常に疲れ やってきた公園で 私は一人寝転んでいる 雲の切れ間から春の陽光が漏れ出し 私の顔半分を照らしている 家族連れの賑やかな声が 風に運ばれて私の耳に届く 私の周りを走っている女の子の屈託ない笑顔に 自分が囚われていた暗い思いは浄化される
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