その二

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              和み地蔵 喜びも、悲しみも 楽しいことも、苦しいことも 愛することも、憎むことも 幸せであることも、幸せでないことも 全てを飲み込んだ ただ、ただ、穏やかで、にこやかな そのお顔は 本当に大事なものは見えないことを教えてくれている              悲しみの通り道 都会の外れの小さな病院で 静かな朝に溶け込むように 何も言わずに息を引き取った母 手を握っても、頬をたたいても もう目を覚ますことはないけれど まだ、その場にたゆたう母に 伝えきれなかった感謝の言葉を言う 悲しみは胸の中で徐々に広がり 私を押しつぶそうとするけれど いつも私のことを案じてくれていた母を安心させるために 病室の窓から見える群青色の空に向けて 悲しみの通り道を開ける                片思い 幾重にも連なる山の見える町で 偶然出会ったあなたに 私は震えるような片思いをし たんたんと過ごしてきた日々を 仄かにピンク色に染める 相容れない地図を持つ私には 所詮は届かぬ恋の物語 心の風船を空中に ふんわりと浮かべて 自分で破裂させる              一生懸命な君へ 太陽に向かって可憐に咲く花のように 何事にもひたむきで 一生懸命な君は 自分の進む道を まだぎごちなく歩いている 季節が移り変わるように 天候が急に変わるように 君にも暗い影が覆う時もある たとえば、自分の力不足に、挫けそうになったら 自分の最初の志を思い出そう きっと誰かが君の努力を見ていてくれる たとえば、仕事に失敗し、俯きたくなったら ただ青い空を見上げよう 君の真摯な姿は、きっと人の心をとらえている たとえば、困難に負けそうになったら 大切な人のことを思おう きっと、君を支えるたくさんの人が君のために微笑んでいる たとえば、仕事に辛くなり、泣きそうになったら 持ち前のとびきりの笑顔を振りまこう きっと涙を越える勇気が満ちてくる 君は 世界中でたった一人の君であり、自分だけの人生を手に入れ 幸せになるために生まれてきたのだから
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